鉄筋3階建の書庫完成

1928年~1945年

戦前の青森県立図書館書庫内部

画像: 1929(昭和4)年頃の青森県立図書館書庫の内部(『青森県図書館関係写真集』より)。

既にあった木造2階建の書庫に加え、当時青森県の実業界で活躍していた渡辺佐助(1882-1955)からの寄附金10,000円を元に、新たに鉄筋コンクリート3階建の書庫が落成。

その直後、明治から昭和初期にかけて青森県内の図書館運動に尽力した三橋三吾(1875-1944)が、書庫の防火設備に懸念を抱き、1,750円を寄附して網入ガラスと防火シャッターを設置させた。

三橋三吾とともに1914(大正3)年私立青森簡易図書館を開設し、後に青森市議会議長を務めた伊東善五郎(1891-1972)は、次のように語っている。

「三橋三吾さんが、図書館の書庫は鉄筋でも、窓がたった一枚の板ガラスであることを非常に恐れていた。それは、彼らが明治時代から広めてきた図書館の蔵書を明治四十三年の青森市の大火で一瞬にして灰にしてしまった。過去の苦い体験を二度と繰り返したくない一念からだったと思う。防火に完全を期するために防火シャッターと万一の災害にも窓ガラスが金網で保護できるものに改善すべきだと主張した。ところが県にはそのための予算がない。三橋さんが自らその当時のお金で二千円近い金額を書庫の窓ガラスの改善に寄付してくれたのを記憶している」(間山洋八『青森県図書館運動史』間山洋八, 1967)

これにより「本館書庫は不燃焼防火の設備に於ては全国稀に見る完備せるもの」(『郷土文献目録 第1編』青森県中央図書館, 1936)となった。