画像: 青森県立図書館新聞コーナー。1984(昭和59)年3月。
青森県内の公共図書館及び公民館図書室の協力体制を確立するため、青森県図書館連絡協議会の事業として、図書館資料の相互貸借・情報提供・県内共通利用券の発行・行事の提携の4つを柱とする「青森県図書館ネットワーク」(青森県内図書館網確立対策事業)を立ち上げた。
「二、図書館資料の相互貸借制度
利用者からの要求された資料が自館にないとき、この制度を利用して県内の他館と積極的な図書館資料の相互貸借を行い、利用者に対する図書館奉仕活動の充実を図るものです。
三、図書館資料の情報提供
資料相互貸借が効率的に活用されるためには、県内各館における所蔵資料の状況把握が必要です。すべての資料についての書誌的検索が理想ですが、総合目録やコンピューターによる検索は時間的にも経済的にも当面不可能であるため、当初は、各館が新規に入手した郷土資料について、年三回「青森県郷土資料新収目録」を発行します。
四、共通利用券の発行
利用者が資料の館外貸出を受けるときは、これまで、それぞれの館ごとに定める利用券等の発行を受ける必要がありましたが、県内に居住又は勤務する方は共通利用券の交付を受けることにより県内どこの公共図書館又は公民館からでも資料が借りられるようになります。
五、行事の提携等
図書館関係職員の資質の向上を図るため職員研修を充実すること及び図書館奉仕活動に関する行事の開催について質的向上をめざして積極的に広域的な提携をすゝめることが骨子です」(「県内図書館網確立対策事業」『三潮』1984年3月号)
当時、県内67市町村のうち公立図書館を設置する自治体は19のみ(『青森県の図書館 1983年版』青森県立図書館, 1984)にとどまっていたことから、地元紙はこの事業について
「ネットワークは現在の手薄な本県の図書館、公民館図書室には結構な制度だ」(「図書相互貸借制の現況」『東奥日報』1984年10月2日)
と評価する一方、
「こういう制度ができたからといってあれもこれも他館に依存ということですませられるかどうか」
「この制度を推進するためには個々の施設のより一層の充実が何よりも必要だ。予算面でも一層の配慮を望みたいが、同時に自治体の幹部には図書館というものを真剣に見直すよう望みたい」(同上)
と各自治体に図書館行政の見直しを求めた。