画像: 青森県立図書館目録室。1984(昭和59)年3月。
1954(昭和29)年に青森市の中心部・新町に建設された青森県立図書館は、次第に施設や設備の老朽化・狭あい化が進み、業務に支障をきたすようになっていた。
このため、1982(昭和57)年頃から持ち上がっていた県立図書館の郊外移転案について検討が行われ、青森市荒川の県総合社会教育センター隣に新館を建設する基本構想がまとめられた。
この構想は、移転前に比べて延べ床面積を約2倍の9,800平方メートル、閲覧室に排架する資料を約3倍の14万冊、書庫の収蔵能力を約3倍の100万冊に拡大するとともに、各閲覧室を1階にまとめるワンフロア方式の採用とコンピュータシステムの導入により図書館サービスの効率化を図るもので、県議会の請願採択を受けて県近代文学館の併設についても盛り込まれた。
1985(昭和60)年から1988(昭和63)年度まで館長を務めた古内明郎は、次のように述べてこれを歓迎した。
「現在の図書館は昭和二九年に完成し、すでに三五年近くの時が過ぎております。建物自体はそれでもまだ何とか持ちそうですが、付帯施設が問題で、中でも屋根、暖房施設、窓枠などの傷みがひどく、床もかなり傷んできました。特に屋根は水漏れの原因となり、それが書物を駄目にする恐れがあるので、その防止のため非常に苦労しています。また、暖房施設では地下配管の傷みがひどく、たびたび補修はしていますが、もし冬期間に故障されたら休館するしか方法がないので毎年心配の種です。それと同時に開架式の一般閲覧室が二階にあるために、利用者には大変不便をかけていること、更に書庫も手狭になってきており、あと数年で満杯になるような状態なので、この新築に今年から取りかかれたということは、私にとっても非常に喜ばしいことで、一日も早く立派で県民に誇れるような図書館が出来上ることを、かつての関係者の一人として切に望むものです」(古内明郎「図書館を去るに当たって」『三潮』1990年9月号)