画像: 青森県立図書館児童室。1984(昭和59)年3月。
第185回定例県議会において、青森県立図書館の新館建設が3年継続事業として採択され、8月に着工した。総工費44億6千万円。
新館の建設については、
「利用者層が「買い物ついでの主婦やサラリーマンなど市内中心部に来た人」から「目的を持ち、専門的な資料を求める人」に変わり、"庶民離れ"しそうだ」(「郊外移転で庶民離れ? 県立図書館の新築計画」『陸奥新報』1990年11月26日)
「県行政の中枢である県庁から離れた地区への移転は百害あって一利なしである」(「新図書館考」『デーリー東北』1990年12月10日)
などの郊外移転に対する批判や、
「二十一世紀にふさわしい図書館として有効活用できるスペースが確保できるのか」
「コンピューター導入や機械化、近代文学館併設などを考えると、ゆとりがあるとは思えない」(「床面積ほんとに十分? 「計画に無理」の声」『東奥日報』1989年11月19日)
「県総合社会教育センターの南隣で、背後には青森刑務所の塀がある。
郊外移転ということで、多くの図書館がそうであるように、緑豊かな環境を期待したが、そうはならなかった」(「県立図書館の移転で望む」『東奥日報』1992年2月14日)
などの敷地の狭さを懸念する声、
「県内文化団体の長年の要望である本県関係の文学館の併設は大賛成であるが、ほかに、本県関係者の作品を展示する美術館の併設と、既設の県立郷土館もそこに移すなど(隣接でもよい)、ひろく検討して計画を策定すべきであると思う」(「県立図書館は百年の大計考えて」『東奥日報』1989年7月12日)
「図書館の内部に一室を置くことへの公然とした批判が出ております。文学活動というものはそもそも文学における歴史的流れなどを探究するもので、その系統的な研究活動が保障されるそういう機能のあるものでなければならないと思います。単に一室をくっつけただけというのでは極めて不十分なものにならざるを得ないと思います」(『青森県議会定例会会議録』1990年12月12日)
といった県近代文学館の併設に対する賛否などのさまざまな意見が寄せられ、青森県立図書館に対する県民の関心の高さをうかがわせた。