巡回配本廃止

1965年~1993年

青森県立図書館はと号(四代目)

画像: 川内町(現在のむつ市川内町)の中央公民館で配本を行う移動図書館はと号(四代目)。1984(昭和59)年冬。

青森県立図書館は、1952(昭和27)年から続けられてきた移動図書館による県内巡回を1992(平成4)年度限りで廃止し、翌1993(平成5)年度からは協力車による相互貸借資料の配送に切り替えることとした。

「好きな本は近い八戸市で買う人が多い。図書館の共通利用券を使って八戸市立図書館を利用することもできるし」(「姿消すブックモービル」『東奥日報』1992年6月8日)

と階上町の担当者が語るとおり、この頃には交通の便が良くなり、郡部から市部へと出かけて本を入手することが容易になったことから、移動図書館による配本資料の利用率は低迷していた。

1959(昭和34)年から25年間にわたって移動図書館を担当し、最終巡回にも立ち会った県立図書館の職員は、

「どこも道が良くなった。昔は一日に二回ぐらいパンクするのは珍しくなかった。一度鯵ケ沢へ行った時、スプリングが折れ、丸太と針金で急場をしのいだこともあった」
「車が行けない開拓村には映写機を担いで訪ね、上映場所の集会所にそのまま泊まることもあった。でも、それが楽しみでね」(「「姿消す「文化の宅配便」」『東奥日報』1993年3月30日)

と、移動図書館が「軒先文化」として親しまれた当時の苦労をしのんだ。