第4回「光と風のプロムナード野外文芸館」優秀作品

短歌

・塩なめの鐘を鳴らせば駆けてくる

 馬たちの髪に春は萌え立つ

   佐藤忠蔵(青森県三沢市)

・丘の上の草食む馬を真ん中に

 入れて二重の秋の虹立つ

   藤林正則(北海道稚内市)

・生き生きと厩舎掃除をやり終へて

 戻りゆきたる登校拒否児

   吉田健一(福島県いわき市)

・子を孕む馬の背中はあたたかし

 草鞋履かせて検診へゆく

   工藤一郎(青森県十和田市)

・ひねもすの田鋤きに疲れおとなしき

 馬の鞍解く月夜明かりに

   保泉きよの(埼玉県比企郡滑川町)

・日の丸の旗を背にかけ徴用に

 従いし馬ついに帰らず

   中村純介(京都府京都市)

俳句

・母子馬冷す漣ありにけり

   田荷央(東京都北区)

・親馬のどこかに触れて仔馬駆く

   大川慶子(青森県十和田市)

・馬小屋を閉めて夜涼の刺し子かな

   小嶋豊子(青森県十和田市)

・落馬して少年の夏馬臭し

   柴田とろろ(愛知県岡崎市)

・山の方見て静かなる冷し馬

   土井三乙(青森県八戸市)

・唐突に兵馬の匂い草いきれ

   福嶋卓爾(千葉県千葉市)

川柳

・母の視野子馬駆けるも草食むも

   和田万沙子(青森県十和田市)

・洗い馬貴公子然と海を見る

   蝦名登美子(青森県十和田市)

・少年を好きでたまらぬ仔馬の眼

   齋藤(青森県弘前市)

 

十和田市官庁街通り

平成13年建立

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