「俳句の小径」句碑群60基

・元日や心足る日の多かれと(長内ミキ)

・大いなる湯舟に一人初湯かな(小山内昭女)

・ネプタ牽く子に添ひ彼も子煩悩(今谷清介)

・風花の木の間がくれにただよいぬ(安田たゞし)

・福寿草間ぬ●しきまでに黄色に(菊池悠史)

・やわらかき●日よ花ひらく(畑山稲月)

・天の川十和田の湖にかゝりぬ(虎谷嘯月)

・津軽不二容チ正して秋晴るゝ(黒沼草生)

・朴の実を見上ぐれば雲流れゆく(工藤京子)

・湯の町を見おろして佇てる花野かな(三浦恵子)

・赤き実はがまずみらと立ち止まる(花田道子)

・わけ入るや邯鄲の鳴く芒原(福士久太)

・草刈って吟行びみちつけてあり(福士みさ女)

・秋天にリフトの人等吸はれゆく(三上きくを)

・少年の五月の風と光を(長内禎孝)

・フラココの時々見ゆる新樹かな(長内幸子)

・薮豆の莢落ちて雪窪みをり(淡谷鉄三)

・花りんご番屋とざしてありにけり(秋田谷秋月)

・向きかへて流るゝ鷹の尾楫かな(後藤山狂月)

・雪笹の大群落の涼しさよ(吉田紅一)

・菊称ふ一花一花に歩を停む(長谷川草人木)

・美しき夏山にして雨そゝぐ(神九六)

・高原の何処へ行くも虫しぐれ(神照代)

・この山に郭公鳴くやいつまでも(塚本峯石)

・高原の月に句帖を照らしゆく(工藤尚義)

・山の湯や夏蝶がくる風がくる(盛咲子)

・雲間より刈田に日射美しく(平盛運)

・朝もやの郭公鳴きしこの道を(平よしみ)

・美しきつゝじにひかれ登り来し(増田勢子)

・茂りとはかく美しきものなるか(増田手古奈)

・仰ぎ見る千丈幕の紅葉かな(槙耳掻子)

・新雪の岩木嶺はるかりんごモぐ(油川一石)

・温泉の窓に冬山見えて冬となる(下沢木鉢郎)

・河鹿鳴く瀬に温泉の宿の灯が流れ(油川研子)

・師の句碑を訪へば風あり朴匂ふ(板垣里庵)

・白鳥を眺め楽しく湯浴みかな(小田桐木堂)

・岩木山はるかに見えてさはやかに(木田杜雪)

・車窓より見し秋草の思うこと(木田水草子)

・色鳥の来て美しき日となりぬ(古川勝正)

・千振の出店ならぶや秋まつり(今井てる)

・みちのくの綿入れほしゝ花りんご(成田芳村)

・春雪を散らして鵯の木から木へ(中川みどり)

・もやし場の湯煙白し初明り(沢田きえ)

・大いなる春の嵐や虚子祀る(外崎喜代)

・夫とある倖せ共に屠蘇祝ふ(佐藤千代子)

・この山の匂いすみれの小径かな(桜田初代)

・山吹や径はこゝより急な坂(小田桐浩洋)

・村の道子等のつくりしねぷた行く(藤田一星)

・鳩笛を吹いて春待つ心はも(中村鎮雄)

・黒百合の咲く日月を吾も待つ(近藤惇)

・みちのくに来て仲秋の月を待つ(宇津信子)

・勤行の鐘厳かに夏の山(三浦涼風)

・大津軽野面々々の豊の秋(大井東洋)

・どの株もかたき莟のあやめかな(中野かつ子)

・黄蝶とぶ宵待草の咲く丘に(川村とも子)

・時雨ても晴れても山をふり返る(工藤乃里子)

・山路や八重山吹のなだれ咲き(建部かほる)

・大鰐に来てこの漆かゝばやと(畠山若水)

・緑蔭に心引かるゝ石ありし(工藤華車)

・紅葉濃き山ふところの温泉かな(野呂新緑)

・なゝかまど這松ぬけて実を持てる(小島喜草)

・紅葉山越えて湯煙立つ宿に(長内久女)

・いかづちの鳴りどよもせる種下し(長内万吟子)

大鰐町茶臼山

昭和51年10月建立

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