黒石市川柳の杜

黒石市中野山

「中南黒石地区の文学碑」一覧に戻る

黒石市川柳の杜   平成6年年5月21日建立
共存へ
愛と和の字を
温める
                          西谷東山


酒酌めば妻もポリスも怖くない
                          相馬 一花


男坂すぎた死角で蝶が待つ
                          根岸 正栄


銭のない
頃がよかった
夫婦仲
                          木立 妙香


道端の
花に命を
諭される
                          工藤 すな


寝そびれて
与謝野晶子の
歌に泣く
                          波多野 五楽庵


それぞれのこけしから出る国訛り
                          筒井 ゆう


アルバムを開くと祖父も中野山
                          三浦 牛児


よされ節
こみせに
咲いた
恋の花
                          川内 河鹿


荷を解けば
ふるさと匂う
母匂う
                          佐藤 遊子


闘いに
疲れて妻の
掌に眠る
                          柳田 健二


北国の
雪はくらしに
のしかかり
                          五十嵐 一


火の色を
溶いて女の
胸を描く
                          大黒谷 サチエ


早すぎて
遅すぎて病む
娘の便り
                          モリ タダオ


子に見せる
背中をいつも
張っておく
                          三浦 蒼鬼


力にも
なれず駅まで
おくる傘
                          田崎 光星


ふるさとに素足で歩く道がある
                          佐藤 悠


逆上り出来て少年天下盗る
                          三浦 柳寿


祈り千べん空一杯に花が降る
                          工藤 さた


愚痴を聴き聞かせて妻と五十年
                          北山ゆき坊


幸不幸あざないながら四季めぐる
                          佐藤 古拙


生きてゆく証は葱をきざむ音
                          太田 三犀


またの世へ夢を詰めてる旅鞄
                          加川 ●川


夕涼み
座れば石に
ある温み
                          鳴海 七三郎


人生の
途中途中で
石拾う
                          須藤 なでしこ


今日何食べた日暮れの寒雀
                          松井 一寸


ひたむきなこけし出湯の顔となり
                          鳴海 はつ江


余生編む糸は明るい彩にする
                          佐藤 一沙


三弦の叩く音色が津軽呼ぶ
                          竹嶋 史


一本の道より知らぬ土踏まず
                          佐藤 遊子