「短歌のみち」歌碑群

 
  昭和57年建立

五所川原市・神山字殊ノ峰
津軽フラワーセンター

24基

・身を投げてものを思はむ葉がくれに
 椿の花のひとつ咲きいづ
加藤東籠

・澄みきりて濃きから藍の色なせり
 山に来て見る霜月の空
和田山蘭

・うぐひすの初音きこゆるのどかさに
 山路のうめもほころびにけり
寺田石華(太七郎)

・この国にわれも生まれり愛しあい
 希望をもちより人の生きゆく
小笠原俊亮

・いくさ人みとりし頃は若かりき
 吾今老いて思ひ出遠し
村山百合子

・雪解けし田の畦に沿ひはや芽吹く
 香の強き芹を友と摘みをり
下山サト

・稲穂みな青立つままに空向きて
 ついに実らず白く枯れゆき
岩谷勝義

・雪の降る十和田湖のあさ吹き下す
 風に起つ波花のごと見ゆ
成田幸子

・拳を重ねてものを乞ふしぐさ
 昨日なかりし幼子の智
田辺巽

・雪きえの土を含みて萌えいづる
 葱のわかめに炎のもゆ
和田霊光(博)

・郭公の声ながれくる教室の
 夢みてありぬ五所川原恋ほし
林柾次郎

・秋深き朝の散歩に清々し
 東天紅に山鳩の啼く
和田秀峰(夏男)

・健やかにそれぞれ出でし夫と子等
 われは静かに朝餉食みをり
野呂三枝子

・秋風に亡母の植ゑたるアジサイの
 残れる一花色増して咲く
鳴海とみの

・何一つ花咲けるなき秋の野も
 身を投げてをれば足らへぬ
上見仙吉

・チャイム鳴り生徒らの声ざわめきて
 自然を学ぶ神山の家
山形礼子

・かさかさと乾きしささげ音のして
 莢むく茣蓙に蜻蛉動かず
●●●

・ふかぶかと己が根元に葉を敷ける
 森を透して湖は流れり
●はじめ(●●)

・寒空を一気に突きて翔びあがる
 大凧のグング鳴り高らかに
岩谷明雄

・植ゑしより二十三年桜の木
 大樹となりて老いを慰む
三上イツ

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