与謝野晶子歌碑

まばゆかる大和錦と云へる名の

林檎の枝にかかる月かな

みちのくの津軽の友の/云ひしこと今ゆくりなく/思ひ出で涙流るる/悲しやと、さまで身に沁む/筋ならず聞きつることの/年を経て思はるゝかな/おん寺の銀杏の大木/色うつり黄になる見れば/朝夕になげかかるなり/忌はしく、ゆかしき冬の/近づきしこと疑ひも/なきためと友は云ひてき/今われが柱に倚りて/見るものに青々たらぬ/木草なし満潮どきの/海鳴りのごと蝉の鳴く/八月に怪しく見ゆれ/みちのくの板柳町/岩木川流るるあたり/古りにたる某寺の/境内の片隅にして/上向きに枝を皆上げ/葉のいまだ厚き銀杏の/黄に変り冬を示せる/立姿かの町びとの/目よりまた除きがたかる/寂しさの備る銀杏/うつゝにし見るにはあらず/この庭に立つにはあらず/おとろへし命の中に/北の津軽の/黄葉する大木の銀杏/与謝野晶子「幻の銀杏」より

  • 板柳町福野田灰沼地内 中央アップルモール
  • 平成17年2月10日建立

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